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東急東横線横浜〜桜木町間廃止レポート

2004年1月30日限りで、70年以上の歴史を持つ大幹線の一部が廃止となった。
東急東横線―東京に住む者なら、誰もが知っているといっても過言ではないこの路線、廃止となった理由は、決して経営難や利用不振などではない。同年2月1日、すぐ近くで横浜高速鉄道みなとみらい線が開業したため、東急東横線は、横浜〜桜木町間が廃止されることになったのだ。
祖父の家が東横線沿線にあることもあり、幼い頃から東横線に思い入れの深かった私は、東急東横線横浜〜桜木町間の最後の勇姿を見届けるため、この区間の最終営業列車に乗車することにした。

方向幕回転中…最終日となる1月30日は、相当の混雑が予想されるため、前もって数日前、901さんと共に桜木町を訪ねた。休日だったせいもあるが、多くの人で賑わっていた。方向幕の回転中に、あり得ない行先を撮った。そして、廃止の記念に硬券の入場券を購入した。既に30日付のものが売られていた。
廃止となる区間を含む定期券は「6ヶ月定期の金額÷184×使用する日数」という金額の「日割定期券」として売られていた。最終日1日だけの横浜〜桜木町間の定期券は120円。普通運賃110円と比較しても10円の差だったので、ためらうことなく購入した。
硬券入場券日割定期券

折り返し、最終桜木町行となります…最終営業日1月30日。桜木町で901さんと合流し、最期の夜を過ごす。偶然、清瀬駅利用者さんと会った。

2人と別れた後、渋谷で終電発車1時間以上前からホーム先頭部に並ぶ。終電の発車する2番線には、既にこの時点でホームから溢れんばかりの人だかり。そして、折り返し終電となる列車が入線してきた。自然と胸が高鳴る。

終電の車内ドアが開く。乗車時、数人転倒。途中駅からも大勢が乗車。東白楽を過ぎ、地下切替地点で、地域住民総出の見送りを受ける。乗客みんなで手を振り返す。翌日から地下化される反町あたりで混雑がますます激しくなり、横浜で限界、高島町で奴隷船状態に。人間地獄…。

桜木町に到着した営業最終列車桜木町に到着。現在、31日1時5分。東横線の桜木町駅は、もう息を吹き返すことはない。気づくと目頭が熱くなっていた。

桜木町駅最期の夜駅のシャッターが締まるまで駅にいた群集から「桜木町」コールが発生。一部に「マンセー」なんてのも…。
その夜は千葉の自宅まで帰る術もなく、桜木町駅近くのマンガ喫茶「まんがでGO!野毛店」で一夜を明かした。

もう列車の来ない高島町駅夜が明け、根岸線の初電、そして市営地下鉄の初電が動き出す。しかし、一つだけ日常から取り残された空間があった。
マンガ喫茶を出て、東横線の廃駅跡を見る。長い歴史を背負ったまま、時が止まったようだった。

高島そば・店じまい高島町駅の高架下に小さなそば屋があった。「高島そば」―かつては三菱重工業横浜造船所への通勤者で賑わった高島町駅。造船所がなくなり、乗降客も少なくなった同駅の歴史をずっと見てきたこのそば屋から、もうダシの匂いがすることはない。

その後、東横線沿線の祖父の家に立ち寄り仮眠をとり、千葉の自宅へ帰り着いた。そして翌2月1日の、みなとみらい線開業初電乗車に備え、体力を回復した。

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